アース線やアースシートで室内の電磁波は防げるのか

アース線やアースシートで室内の電磁波は防げるのか

スマートフォンやWi-Fi、パソコン、電子レンジなど、私たちの生活空間には日常的に電磁波が飛び交っています。体調不良の原因が「もしかして電磁波かも?」と感じている人にとって、アース線やアースシートといった対策グッズは気になる存在ではないでしょうか。これらは本当に電磁波を減らす効果があるのか、どのような仕組みで働いているのかを正しく知ることが、安心して暮らす第一歩となります。この記事では、室内の電磁波の実態とアースによる対策の有効性について、わかりやすく解説します。

電磁波とは何か

電磁波とは、電気の力(電場)と磁気の力(磁場)が交互に変化しながら空間を伝わる波のことです。身近な例としては、ラジオの電波やスマートフォン、Wi-Fi、電子レンジなどがあり、可視光線や紫外線、赤外線も電磁波の一種です。電磁波には波長や周波数によってさまざまな種類があり、波長が長いものほど低エネルギーで、短いものほど高エネルギーになります。私たちは知らないうちに常に電磁波に囲まれて生活しており、その影響について不安を感じる人も増えています。

室内に電磁波はあるのか

私たちの生活空間には、見えない電磁波が多く存在しています。電磁波は、家電製品や通信機器などから常に発生しており、特にコンセントに接続された機器は、使用していない状態でも待機電力と共に微弱な電磁波を放っていることがあります。スマートフォンやWi-Fiルーター、IHクッキングヒーター、ノートパソコン、電子レンジなどは、その中でも高い電磁波を出す代表的な製品です。こうした電磁波は健康に影響を及ぼす可能性があると指摘されることもあり、対策を講じる人が増えています。

アース線の仕組み

アース線の仕組み

アース線とは、電気機器から発生した不要な電流や電圧を地面(地球)に逃がすための導線です。例えば漏電が起こったとき、アース線があれば人の体を通って流れるはずだった電流を地面に逃がすことができ、感電を防ぐことができます。さらに、電化製品の外部に生じる静電気やノイズ、電場を逃がす効果もあり、電磁波の一部(特に電場成分)を低減させることができるのです。ただし、アース線を設置していても、すべての電磁波を完全に防げるわけではありません。

アースシートの仕組み

アースシートは、導電性の素材でできたマットやシートにアース線を接続し、身体や機器から発生する電場を地面に逃がすための道具です。パソコン作業中にマウスパッドとして使ったり、就寝中にベッドに敷いたりして、身体に帯電した電気を地面に逃す目的で使用されます。正しく接続されたアース付きのアースシートを使用すると、電場の影響を大きく低減できることが複数の実測検証で報告されています。特に電場による刺激を感じやすい電磁波過敏症の方からは、「眠りやすくなった」「頭痛が軽くなった」という声も聞かれます。

電子レンジやノートパソコンから出る電磁波の量

家庭で使用される代表的な電磁波発生源には、電子レンジとノートパソコンがあります。電子レンジは高周波(2.4GHz前後)のマイクロ波を利用して加熱を行っているため、使用中は特に高い電磁波を周囲に放出します。近距離での測定では、数百~千μW/cm²(マイクロワット毎平方センチメートル)に達することもあります。

ノートパソコンの場合は、内部のACアダプターや液晶ディスプレイから電場と磁場の両方が発生しています。膝の上に乗せて長時間使用することで、電場(数十~百V/m)や磁場(数μT)を身体に浴び続ける状態になるため、敏感な人は疲労感や頭痛などを感じることもあります。

アース線・アースシート・電磁波防止シールだと、どれが一番電磁波を防げるか

電磁波を防ぐ効果は、目的とする電磁波の種類(電場・磁場・高周波)によって異なります。一般的にアース線やアースシートは「電場」の除去に非常に効果的ですが、磁場や高周波(Wi-Fiやスマホ電波)への効果は限定的です。一方、電磁波防止シールは高周波に作用するとされますが、科学的に十分な効果があるかは疑問視されています。実測で効果を確認しやすいのはアース系の製品です。

対策グッズ対応する電磁波実測効果の信頼性特徴
アース線電場高い家電の電場を地面に逃がす
アースシート電場高い就寝中や作業時に体から電場を放電
電磁波防止シール高周波(限定的)低い~未検証効果に個体差が大きく実証が乏しい

結論として、電場対策にはアース線・アースシートが有効で、電磁波全般を防ぐには用途別の対策を組み合わせることが理想です。

アースで室内の電磁波は減らせるか

アース線やアースシートを適切に使用することで、特に電場の低減には一定の効果が期待できます。実際の測定では、アースを接続しただけで、電場の強さが100V/mから5V/m以下にまで減少する例もありました。これは電場が身体や空間に帯電するのを防ぐという意味で非常に有効です。

ただし、磁場や高周波(Wi-Fiなど)の成分については、アースではほとんど影響を与えられないため、別の対策(距離を取る、遮蔽素材を使うなど)と併用することが望まれます。電磁波対策としてアースを使う場合は、どの種類の電磁波に対して効果があるのかを理解した上で導入することが大切です。

家のコンセントにアースが無い場合の対応方法

多くの日本の住宅では、古いコンセントにアース端子が備わっていないことがあります。その場合の対応方法として、次のような選択肢があります。

アース付きのコンセントに交換する

電気工事士による工事が必要ですが、信頼性の高い方法です。

アース棒を屋外に設置する

アース棒を地面に埋め、そこから室内に引き込むことで、アース接続が可能になります。地面に湿気がある地域では効果的です。

金属配管などをアース代わりに使用する(非推奨)

一部では水道管などにアース線を接続する方法が紹介されていますが、誤って他の設備に電気が流れる恐れがあるため、安全性に問題がある場合があります。

USB接続型アースや擬似アース製品を利用する

簡易的に電場を逃がすことを目的とした製品も存在します。ただし、本物の接地アースとは異なるため、効果は限定的です。

家庭内の電磁波が気になる場合は、アースを正しく活用することで一定の改善が見込めます。ただし、すべての電磁波を除去できるわけではないため、他の対策と併せて使うことが重要です。

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