反芻思考とは?(はんすうしこう)チェックとやめたいときに止める方法

「あの時の会話、変だったかな……」「また失敗するかも」そんなふうに、頭の中で同じことをぐるぐると考え続けてしまう経験はありませんか?それは、いわゆる「ぐるぐる思考」とも呼ばれる『反芻思考(はんすうしこう)』の状態かもしれません。
反芻思考は、何か気になることや不安なことに対して、繰り返し同じ内容を頭の中で反すうするように思い返してしまうことを指します。特にネガティブな感情や出来事に結びつきやすく、気づかないうちに心を消耗させる原因となってしまうことがあります。
ぐるぐる思考の正体――反芻思考とは

反芻思考は、過去の出来事や自分の言動、他人の反応などを、何度も反すうするように思い返し続ける思考のクセです。「どうしてあんなことを言ってしまったのだろう」「あの人は怒っていたかもしれない」など、主に後悔や不安、自責の念を中心に回り続けます。
本来であれば、一度考えて整理した後に前向きな行動へと進むのが自然な流れですが、反芻思考では“考えること”自体が目的化してしまい、行動が止まり、苦しさばかりが残ってしまいます。
自分が反芻思考に陥っているかを確かめるチェックリスト
反芻思考は、無意識のうちに入り込んでいることも多いため、まずは自分がどのような状態にあるかを客観的に確認してみましょう。以下の表は、反芻思考に特徴的な心理状態や思考のパターンをまとめたチェックリストです。
チェック項目 | 説明 |
---|---|
同じ内容を何度も思い出してしまう | 特定の出来事や言動を、何度も頭の中で再生してしまいます。 |
寝る前に考え始めると眠れなくなる | 夜間、布団に入るとネガティブな考えが浮かび続けてしまいます。 |
過去の失敗を思い返して気分が沈む | 今は終わった出来事でも、当時の感情がよみがえって落ち込みます。 |
自分を責めるような思考が続く | 「自分はダメだ」「もっとこうすべきだった」と内省が自己批判に変わります。 |
他人の反応が気になって仕方ない | あのとき他人がどう思ったか、何を考えていたかが気になって離れません。 |
別のことに集中できない | 頭の中の思考にとらわれて、勉強や仕事が手につかなくなります。 |
3項目以上が当てはまる場合は、反芻思考が習慣化している可能性があります。
反芻思考が続く人の性格傾向と原因、対策・治し方
反芻思考(ぐるぐる思考)とは、過去の失敗や不安、他人の反応などを繰り返し考えてしまう思考のクセです。これが続く人には、完璧主義、自己批判傾向、不安を抱えやすい、他人の目を気にする、人の責任まで背負ってしまうといった性格傾向が見られます。原因には、自分で対処できない問題を抱え込むことや、頭の中だけで解決しようとする姿勢などが関係します。対策としては、思考を紙に書き出す、五感に意識を向ける、小さな行動に移すなどが効果的です。自分の性格傾向に合った方法を知ることで、思考のループから抜け出す一歩になります。
ぐるぐる思考をやめたいときに意識してほしいこと
反芻思考を止めるためには、考えないように無理やり抑え込むのではなく、「今、ぐるぐる思考に入っているな」と気づくことが第一歩です。そして、その気づきから少しずつ意識と行動を変えていくことが大切です。
頭の中だけで考えず、「外に出す」
思考を頭の中に留め続けると、内容が膨らんでしまいます。そのため、ノートやスマホのメモなどに書き出すことで、思考を客観的に眺めることができます。書きながら、自分が何に不安を感じていたのか、何が本当に問題だったのかが見えてくることもあります。
「考えすぎ」に気づいたら、五感に意識を向けてみる
ぐるぐる思考に入り込んでいるときは、意識が“頭の中だけ”に閉じこもってしまいがちです。そんなときは、触れているものの感触、周囲の音、匂いなど、五感を使って「今ここ」に意識を戻すようにしてみましょう。深呼吸も効果的です。
軽い運動や散歩で思考のループを切る
体を動かすことで、脳の注意を外部に向けることができます。特に外の空気を吸いながら歩くと、自然と視野が広がり、心の視野も少しずつ開かれていきます。運動は気分転換だけでなく、反芻思考そのものを軽減する効果もあることが分かっています。
小さな「行動」に切り替えてみる
何か不安なことがあるとき、「考えて整理しよう」として反芻に入りがちですが、それよりも先に小さな行動に移してみることも一つの方法です。例えば、「考えるより、まず1通メールを返す」「とりあえず机の上を片づける」など、シンプルな行動が脳のモードを切り替えてくれます。
おわりに
反芻思考は、誰にでも起こりうる自然な心の働きです。ただ、その状態が長く続くと、心のエネルギーを消耗しやすく、日常生活にも支障をきたしてしまいます。
「また考えてしまっているな」と気づくことができれば、それはもう“第一歩”です。そこから少しずつ意識を外に向け、自分の心を休ませる工夫をしてみてください。